たばこか健康か
「たばこか健康か、健康を選ぼう」(Tabacco or health, choose health)
これは世界保健機関(WHO)の世界禁煙デーのスローガンです。
1988年当時、健康かたばこかの二者択一を迫るこのスローガンはとても衝撃的でした。
しかし、実際にたばこが健康に悪い影響や害を及ぼすことは、医学的にも明らかです。
禁煙すれば、がん、呼吸器疾患、循環器疾患、生活習慣病などを予防することができます。
日本では、2007年の春から禁煙治療に対する保険適応が始まり、たばこや止めるための環境も整ってきています。
また、この年の世界禁煙デーのスローガンは「たばこ、煙のない環境」(Smoke-free environments)です。
このサイトでは、喫煙による健康への障害や悪影響、禁煙による効果をまとめています。
ぜひ参考にし、たばこの害を再認識してください。
たばこを吸い続けた場合の呼吸器系疾患
たばこを長期間吸い続けた場合の呼吸器系疾患としては、せき、たんが多くなります。
慢性気管支炎、肺気腫などの病気になる確率も高くなり、気管支や肺胞に障害が起こり、呼吸機能が少しずつ低下し、呼吸困難になります。
呼吸困難に陥る病気の約9割は、喫煙が原因とされています。
たばこを1本吸うごとに確実に肺の肺胞(空気袋)が破壊されるため、喫煙者は息切れが起こります。
軽い運動や階段を上がっただけで辛かったり、途中で休んでしまったりするのも息切れの症状が出ていると考えられます。
たばこを吸う人の中でこのような症状があらわれた場合は、呼吸器系疾患の疑いが高くなるので、必ず医療機関を受診しましょう。
たばこを吸い続けた場合の急性影響
喫煙によってすぐにあらわれる影響は、知的作業能率の低下、血流の悪化、肌の老化、胃潰瘍などがあります。
ニコチンや一酸化炭素の影響で心臓への負担が増加し、血圧上昇、心拍数増加、抹消血管収縮も起こります。
その結果、手足や足先が痺れたり、肩や首の凝り、まぶたが腫れるなどの影響も出てきます。
さらには、口臭、顔のシワの増加、頬がこけるなどの美容上の問題も出てきます。
がん
がんの原因の約30パーセントは喫煙が占めています。
喫煙による肺がんになる危険率は約70パーセントであり、喫煙者は非喫煙者の4.5倍も肺がんになりやすい、という研究結果も発表されています。
禁煙をすれば、肺がん発生率は年数を重ねるにつれて減少していきます。
20年以上禁煙を続ければ、肺がん発生率はたばこを吸わない人とほぼ同じになります。
そのため、早めに禁煙をすることが重要になってきます。
また、たばこを吸うことにより、食道がん、肝臓がん、すい臓がんなど治療が難しいがんになる確率も高くなります。
がんの他にも喫煙関連三大疾患である慢性閉塞性肺疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症など)になりやすくなります。
WHOの発表によると、たばこが原因で死亡した人の数は年間490万人とされています。
2030年には、年間約1,000万人になるだろう、と予測されています。
受動喫煙
たばこを吸わない人でも喫煙者の近くにいれば、煙を吸い込んでしまいます。
これは「受動喫煙」と呼ばれ、たばこを吸わない人も有害物質の影響を受けてしまいます。
また、室内の環境たばこ煙は換気をきちんとしていても、強い刺激作用があります。
妊婦や乳幼児への影響
女性が喫煙をすると月経不順、不妊症などの病気の原因になります。
妊娠中の妊婦がたばこを吸うと流産、乳幼児突然死症候群などの確立が高くなってしまいます。
また、乳幼児を持つ母親が喫煙をすると、たばこの煙と母乳が子どもに害をもたらします。
その結果、肺炎、喘息、気管支炎、せきやたんが出やすいなど呼吸器に障害が出る子どもが増えてしまいます。
たばこの煙に含まれる有害物質
たばこの煙にはタール、ニコチン、一酸化炭素、微細粒子などの有害物質が含まれています。
タールには様々な有害物質が混ざっており、数十種類の発がん性物質が含まれています。
低タールのたばこでも発がんの危険性はあまり変わらない、という研究結果も出ています。
ニコチンには血管を収縮させ、血流が悪くなる作用があります。
一酸化炭素は血液中の赤血球と結びつき、体内へ酸素を運ぶことを阻害します。
その結果、全身の細胞が酸欠状態になります。
微細粒子は呼吸器を刺激し、せきやたんを出やすくします。
依存症と禁煙
喫煙者がなかなか禁煙できないのは、たばこのニコチンに強い依存性があるからです。
たばこを吸わないとイライラしたり、不安になってしまい、なかなか止められないのが現状です。
最近では、禁煙を支援する医療機関が増えたり、ニコチンガムやニコチンパッチなどを使うニコチン代替療法も実施されています。
これは体内にニコチンを補給しながら依存症を治す方法です。
禁煙を考えている方は、まず医療機関などに相談すると禁煙の近道になります。